大学生で生活保護を受ける

「彼女のケースは、教育虐待でした。教育虐待のケースでは、一般的に裕福な家庭が多いのですが、”この先自分はどうなってしまうのだろう”と不安になるのは、生活困窮者と同じです。彼女の親は、まさか自分の子どもが生活保護を受けているとは思わなかったでしょう。

コロナになってから、大学もオンライン、親は在宅勤務で家にいる。自分は大学へ行き、親は会社に行くことで、何とかバランスを保っていたのに、今はステイホームで、家にいるだけで衝突してしまう。もともとウマが合わない家族が四六時中一緒にいるわけです。飛び出してくる子どもの気持ちもわかる気がします」

「住まいの貧困に取り組むネットワーク」の林弁護士が言う。

「2013年に”脱法ハウス”が明るみに出てきたのですが、シェアハウスという名前に変わって以降も、いまだ違法なところもある。もちろんきちんとしたシェアハウスもあるけれど、問題があるところも多い。それは行政が本気で取り締まっていないこともひとつの理由なのです。

行政がサボっているので、違法業者が現れる。東日本大震災時に民間アパートをみなし公営仮設住宅にして借り上げたように、今、空いている公営アパートを貸し出すべきです。このコロナは災害にも近い状況で、何とかしなければいけないと思います。民間の支援団体のシェルターに頼ることなく、積極的に公的な責任のもとで貸し出せばいいのです」