居場所がない子どもたちはどこへ行くのか

「夏休み中、こんな日がずっと続くのかと思うと、息苦しくなってしまった―」

『コロナと女性の貧困2020-2022――サバイブする彼女たちの声を聞いた』(著:樋田 敦子/大和書房)

池袋にはよく行くが、新宿の歌舞伎町は初めて。怖い大人たちがいるのは知っている、SNSで知り合って、その後リアルで会って、ホテルに連れ込まれたりする恐怖もツイッターを見て知っている。

「大丈夫、そんな男性にはついていかないから。今日はもう少し町をぶらぶらして帰るつもり」

泊まるところのない女性に、援助すると甘い言葉をかけ、関係を求めてくる大人たちがいるのは事実であることを伝える。パパ活でお金を稼ぎ、そのお金でビジネスホテルに泊まる少女がいる。いきなり東京に出てきた少女に、支援を装って買春をする。そんな大人の申し出を断ると、行くところがないのでそうするしかない。

「甘いことを言って、寄ってくる人もいるからね、気をつけて」

そう言うと、彼女は頭をちょっと下げて、駅のほうに歩いて行った。

両親がいても、貧困でなくても、家に居場所がない10代の少女たちはいる。家庭、学校のほかに第三の居場所が必要だと、これまでもずっと言われてきたが、第三の居場所がないとしたら、彼女たちはどこに行くのか。