肌を見れば血管の状態がわかる!?

心筋梗塞や脳卒中などは、いずれも「血管事故」により起こる病気です。全身を巡る血管には「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類があり、なかでも重篤な病気を引き起こすのが動脈のトラブル。

どの部位の動脈に閉塞や出血が生じるかで、それぞれ誘発される病気が異なります。脳の血管が詰まれば脳梗塞、出血すれば脳出血やくも膜下出血、心臓を養う冠動脈が詰まれば心筋梗塞を引き起こします。動脈硬化は自覚症状がないまま進行するため「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、気づいたときは命にかかわる状態になっていることも少なくありません。

しかし、今の血管の状態をおおよそ知ることは可能です。それは、肌=血管だから。私のクリニックには後期高齢者の患者さんも多くいらっしゃいますが、皆さん、血管の状態が改善されるとともに、肌もどんどんきれいになっていきます。

シミやシワが増え、抜け毛や白髪が増えると「年だからしかたがない」と思うかもしれませんが、これらは血行不良がその一因です。腰痛、肩こり、関節痛、むくみ、冷えも同じ。このような自覚症状は、血管力が下がっているサインとも言えます。思い当たる人は、動脈硬化が静かに進んでいるかもしれません。

そこで有効なのが「血管トレーニング」。実は、血管には回復機能が備わっていることがわかってきました。すでにもろくなってしまった血管でも、鍛えることによって、しなやかで詰まりにくく、切れにくい血管へとよみがえらせることができるのです。そのカギを握るのが、血管内で分泌される「NO(エヌオー・一酸化窒素)」という物質。NOをたくさん出すことで、血管は強くなっていきます。