取材相手はとことん調べる

『調べて、伝えて、近づいて-思いを届けるレッスン』 (著:増田明美/中公新書ラクレ)

そうした現場をより深く取材するためには、事前の情報収集がとても大切です。選手の競技データはもちろんのこと、スポーツ科学の文献や気になる最新資料はチェックしています。そして、監督やコーチなど取材先で関わる相手のこともとことん調べてから、取材に行きます。

周りの情報収集も怠らないことが、取材の鉄則。これはマラソン解説やスポーツ記事の仕事に限らず、必ず心がけていることです。

テレビのバラエティ番組などに出るときも、ゲストの人たちのことは全員調べていきます。

たとえば、私が出演している市民ランナー向けの番組『ランスマ倶楽部』(NHKBS1)で、お笑いコンビ「Wエンジン」のチャンカワイさんがゲストの回がありました。私は初めてお会いするので、趣味を調べたところ「剣道三段」と。番組ではさっそく「剣道、やっていましたよね」と突っ込んでみました。

東京パラリンピックのときも、パラを盛り上げるため、スポーツ番組にお笑い芸人さんがよく出てくれました。私も千鳥さんがMCを務める番組に、女子マラソンの道下美里さんと一緒に呼ばれたことがありました。

千鳥の大悟さんとノブさんのことを調べると、ノブさんの実家の庭にはカヤの巨木があって、天然記念物に指定されていることを知りました。

だから、番組の中で「おうちに天然記念物の木があるんですか」と聞いてみたら、「えー、なんで知ってんの?」とすごく盛り上がりました。

テレビの仕事では初対面の人との共演が多いので、ムード作りがとても大切です。そのためにも面白い小ネタを調べておくことは欠かせません。