2022年11月13日、福岡国際センターで始まった大相撲九州場所。先場所は小結・玉鷲の優勝で幕を閉じたが、毎回優勝力士が変わったこの一年、納めとなる今場所はどんな戦いが繰り広げられるのか?『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

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勝つしか道はない正代と御嶽海

大相撲九州場所は、誰が優勝するか予想できないまま中日(8日目)を終えた。

幕内では4日目に全勝力士が消え、この状況は1969年以来53年ぶりだという。中日まで1敗をキープしたのは、関脇・豊昇龍、前頭筆頭・高安、前頭9枚目・阿炎、前頭13枚目・王鵬という個性が違う4人。

暴れん坊横綱だった朝青龍が叔父さんの豊昇龍は、躍動感があり、足技が見事である。何度も優勝をのがしている高安は、かちあげと圧力と腰の重さが魅力。阿炎は肘と足首の手術をして先場所休場したが、腕が良く伸びて元気溌剌。王鵬は、優勝32回の昭和の大横綱・大鵬の孫で、22歳にして存在感があり、前へ出る力がついてきて将来が楽しみ。ちなみに大鵬は、関脇時代の1960年に九州場所で初優勝をしている。

2敗は大関・貴景勝と前頭5枚目・錦富士だ。

困った状態なのが、5回目のカド番の大関・正代と大関を陥落して10勝を上げないと大関に戻れない関脇・御嶽海。二人とも4勝4敗で、負け方が悪すぎる。正代はバタバタと足を運び、御嶽海は肩の怪我が悪いのかパワーがない。大関は、強ければ既に横綱になっているはずだから、仕方ないと思わざるを得ないが、もう勝つしか道はないのだ。

今場所はコロナ禍による来場人数の制限がなく、7日目に『満員御礼』の垂れ幕が下がった。ご当地力士の正代の文字のあるタオルがあちこちに見えた。今後の正代と御嶽海が心配だ。