角界をリードする美容男子・翔猿

7日目は、玉鷲とこの日が誕生日の前頭筆頭・琴ノ若の対戦だった。誕生日のケーキを食べた人とこれから食べる人の対戦だとしか思えない。「琴ノ若!ケーキが待っているぞ!」と叫んだら、押し出しで勝った。玉鷲と琴ノ若がケーキを食べたかはわからない。人間は自分の欲求の範囲で応援するものだと知った。

最近、眉毛の格好の良い力士がいる。剃ったり抜いたりして整えているのか?眉墨で描いているのか?と思う。新小結・翔猿は「猿でなくゴリラになる」とインタビューで答えていたが4勝4敗。翔猿は話し方がさっぱりして江戸っ子らしく、時代劇に出るとしたら、火消しの威勢の良いお兄さんがぴったりだ。全身脱毛でお肌が綺麗なのはインターネットなどでも知られ、角界をリードする美容男子だ。時代とともに大相撲の実況は変わっていくかもしれない。想像してみた。

アナウンサー「親方の部屋の力士たちは、眉毛を整えてカッコイイですね」
解説の親方「顔を張られても落ちない、汗にも強い眉墨を使っています」

アナウンサー「親方は今日、お顔の艶が良いですね」
解説の親方「昨夜、部屋全員で顔のパックをしました」

という感じだ。大相撲が別の方向に行ってしまうので、ここで書くのをやめておく。

取組に戻すが、5日目の御嶽海と翔猿の対戦は御嶽海が突き落としで勝った。その時、正面解説の北の富士さんが翔猿について「寄り方が上手の方に寄ったね。差し手の方に寄らないと」と言った。6日目の翔猿と琴ノ若戦では武隈親方(元大関・豪栄道)が、負けた翔猿について「差し手と逆の方に寄って行くと駄目なんですよ」と同じことを話した。大相撲は奥が深くて、面白くてたまらない。

他の取組で、テレビに映る反対側の差し手がどうなっているかと、立ち上がってテレビの裏を見てしまい、おのれの間抜けさを知った。

友人が恵んでくれた軍配の絵が茶碗の底にある相撲土産。もったいなくてお茶を飲めず、ご飯も盛れない(写真提供◎しろぼしさん)

※「しろぼしマーサ」誕生のきっかけとなった読者体験手記「初代若乃花に魅せられ相撲ファン歴60年。来世こそ男に生まれ変わって大横綱になりたい」はこちら

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