「一人でも多くの方に、最後までご自分の口で食べていただこうと思ってやってきました」

歯科医が噛めるように口の機能を整え、言語聴覚士が飲み込みのトレーニングをして嚥下能力を上げ、管理栄養士が状況に合わせて適切な食事の形に調整していくのが、一つの黄金パターンだ。

「市村さんのケースでは食事のサポートが必要だということで、五島先生から直接依頼をいただきました。また、ケアマネさんから『栄養コントロールをしてほしい』と依頼をいただく場合もあります。そんなときは管理栄養士の視点から口腔内を観察し、逆に私から歯科医や言語聴覚士さんに同行をお願いすることもあるのです」

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五島先生の元には、亡くなった患者さんの家族からも、「おかげで最後まで自分の口から食べることができました」というお礼の手紙がしばしば届く。

「そう言っていただくのが一番うれしいですね。一人でも多くの方に、最後までご自分の口で食べていただこうと思ってやってきましたから。以前、たったひと口、母親がティースプーン一杯のゼリーを飲み込んだ瞬間に、喜びのあまり、そのお母さんに抱きついた娘さんもいました。そういう姿を見ると、食べることは生きることそのものだという気がするのです」

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