京生菓子司 松彌
金魚

キラキラ光る青い鉢に
祭りの夜店から
連れ帰ったような
二匹の金魚が泳いでいる。
懐かしい夏休みの
ひとこまのように

京都市役所の北、寺町通二条あたりは和紙、金工品、漆器などの工芸品から、日本茶、京飴、洋菓子などの各種美味まで、人気店が軒を連ねるスポット。

そのひと筋東の閑静な新烏丸通に松彌はあります。日常づかいの生菓子が並ぶお店で、夏になるとお目見えする菓子がこちらの金魚。寒天と砂糖を溶かし固めた錦玉の中に、羊羹製の金魚が二匹泳いでいます。

 

松彌は明治時代の創業。五代目の現主人が考案した金魚はかれこれ三十年近くも続く定番商品ながら、密かに改良を重ねており、今の金魚は四代目だそう。金魚はよく見れば赤い琉金と、オレンジの出目金。小さな宇宙に込められた作り手の遊びごころが感じられます。錦玉は梅酒風味で、冷蔵庫でしっかりと冷やしていただけば、暑さもすうっとひく、目にも口にも嬉しいひと品です。