制服のない職場で働く女性が増えた80年代以降には、「女のセビロ」のコピーで、きちんとしているのに、どことなく華やかなビジネススーツを提案し、人気を集めた。(写真提供:森英恵事務所)

仕事着を、「装う」へ

――男性デザイナーは若いモデルを美しく飾り立てているのに対し、シャネルのモデルは年上の女性でした。(略)中身である人間を目立たせ、女を解放してくれる彼女のシンプルなたたずまいの服に感動しました(『婦人公論』2004年11月7日号)

シャネルスーツと出合い、男性の背広をイメージしてデザインするジャケットに魅了された森さんは、自身もジャケットを愛用。制服のない職場で働く女性が増えた80年代以降には、「女のセビロ」のコピーで、きちんとしているのに、どことなく華やかなビジネススーツを提案し、人気を集めた。

35歳ではじめて訪れたパリでオートクチュールの仕組みに触れ、シャネルスーツを仕立てる。それを着て出演した番組で(写真提供:森英恵事務所)

 

67年の日本航空CAの制服デザインを皮切りに、企業や学校の制服を数多く手がける。集団美と機能性を追求しつつ、70年にはミニスカート、77年には長めのスカートを導入した。当時の流行や世相が見える。

 

集団美と機能性を追求しつつ、70年にはミニスカート、77年には長めのスカートを導入した日本航空CAの制服デザイン。当時の流行や世相が見える。(写真提供:日本航空)