2022年11月13日、福岡国際センターで始まった大相撲九州場所。先場所は小結・玉鷲の優勝で幕を閉じたが、毎回優勝力士が変わったこの一年、納めとなる今場所はどんな戦いが繰り広げられるのか?『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「大相撲秋場所。中日を終え、1敗を守ったのは豊昇龍、高安、阿炎、王鵬の個性が違う4人。困った状況は正代と御嶽海」はこちら

初優勝を狙う者と大関の優勝争い

大相撲九州場所は14日目を終え、優勝争いは、2敗で単独トップの前頭筆頭・高安が悲願の初優勝をするか?3敗で追う大関・貴景勝が「大関がいるぞ!」という意地を見せ3回目の優勝をするか?同じく3敗の前頭9枚目・阿炎が肘と足首の手術による休場からの感動の初優勝をするか?という状況になっている。

千秋楽は、高安対阿炎、貴景勝対関脇・若隆景の対戦が組まれている。高安が勝てば初優勝。高安が阿炎に負けて、貴景勝が若隆景に勝てば3敗3人の巴戦になる。高安が負けて、貴景勝も負ければ、高安と阿炎の優勝決定戦だ。ややこしいが、巴戦が見たい。

高安のことを、「真面目に稽古する」とNHKの大相撲解説の親方たちはほめている。しかし、高安はいざ優勝となると何度も優勝を逃がしてしまうのだ。
今場所の高安は落ち着いているが、14日目は花道にいる高安の目の奥に緊張と不安があるのを感じた。高安は前頭15枚目・輝との対戦だったが、引いてしまい、自分が不利な体勢になったので横に逃げて、はたき込みで勝った。危なかった。しかし、行司の木村晃之助が、高安にぶつかってしまうので一緒に素早く動き、テレビ画面的に迫力があった。