「私は、煙たがられていいんです。うるさくて怖い人でちょうどいい。丸くなりすぎたら、自分がつまんなくなっちゃうもの。」(写真提供:アスコム)
人生の目標や楽しいことに向かい、まっすぐに向かう力強さをお持ちの中尾ミエさん。これまでも挑戦を恐れない姿勢で進んできましたが、70代になったからこそ、あらためてやりたいことが出てきたそう。その中尾さんいわく「万人に愛されるのは不可能なんだから、煙たがれるぐらいがちょうどいい」とのことですが――。

うるさくて怖い人でちょうどいい

これでも角(かど)がとれたといわれているんですよ。年齢を重ねて。
若いころは反抗ばかりしていました。

「君、いつも何かに怒ってるね」
「丸くなれ、もっと丸くなれ」

スタッフにはいつも注意されていました。

誰かに「こうしろ、ああしろ」と指示されることが、私、本当に嫌だったんです。
右を向けと言われると、左を向きたくなるんです。

とはいえ、子どもが大人の世界に入れてもらっているという自覚はあったから、常に「よろしくお願いします」という挨拶だけは忘れずにやってきました。

でも、今は子どもが幅をきかせているでしょう。

つい先日も、共演者の若い子が「おはよーございまーす」とイスに座ったまま、きちんと会釈もせずに言ったんです。

「はい、ちゃんと立ってご挨拶しましょうね」
すかさず注意しました。

こっちの気分が悪いというのもあったけど、挨拶はこんなもんでいいと思ってしまったら、その子が損しますから。

芸能界だって、普通の社会と同じ。
年長者や先輩に対する礼儀があってしかるべき。

自分は特別だと思ったら、人気や入ってくるお金に簡単に吞み込まれて、今いるところからあっという間に転がり落ちてしまいます。

「ミエのこころえ」