(イラスト:藤田ヒロコ)
心穏やかに毎日を過ごすためにも、ご近所とのトラブルはなるべく避けたいもの。しかし、警視庁の発表によると、コロナ禍の自粛生活で近隣関係の相談件数は年々増加。2019年に約27万件だった「家庭・職場・近隣関係」の相談件数が、2021年には約29万件に増えています。
心を許せる相手はほしいけれど、誰とでも一緒にいたいわけではなくて──。あまり付き合いたくない人とのお付き合いなど、ご近所づきあいの悩みから解放される日は遠いようです。瀬川沙織さん(仮名・三重県・主婦・64歳)は、あまり良い印象がなかった近所に住むNさんに、お茶に誘われるようになり……。

つきあうほどにストレスがたまる人

ご近所に住むNさんは、私より2歳年上の姉御肌。トレードマークのおばさんパーマは黒々とし、大きなギョロ目が人に威圧感を与える。息子が同級生なので以前から知っていたが、「うるさいおばさん」と評判で、あまりいいイメージはもっていなかった。そのNさんとつきあうことになろうとは、想像もしていなかったのだが……。

家同士が近いものだから散歩などで時々会っているうちに、私とご近所のOさんはお茶に誘われるようになった。毎回断るわけにもいかない。数回ご一緒してみると、Nさんは必ず嫌みを言うことに気がついた。それも本人に向かって直接言うのだ。

たとえば、人の髪のうすさを大きなギョロ目でまじまじと見て笑いながら指摘する。そんなことをされて喜ぶ人はいないというのに。

しかも、喫茶店で知り合いを見つけると、私たちを置き去りにして近所の人の悪口や噂話に花を咲かせる。それがだんだん嫌になり、お茶の回数は減っていった。

3年前、Oさんは自宅を新築した。私とNさんがその家を見に行った時のこと。わが家は古いマンションなのでOさんの一戸建てを羨ましがっていると、Nさんは「この程度の家なら2000万円くらいでしょ。私ならいつでも買えるわ」。

さらに私に向かって、「60歳を過ぎて家もないのは恥ずかしいから、あなたも建てなさいよ」と言い放った。中古マンションは家ではないのか。夫の薄給で一所懸命ローンを返してきたというのに……。