寛子 実は私、ずっと自分のことだけを考えて生きてきた人間なんです。それがなぜか小雁さんとつき合った時、ふっと「人のために生きてもいいかな」と思ってしもた。30歳差の結婚は反対されましたけど、「10年一緒にいられたらいいや。あとはオマケ」の考えでね。
それに、どんなことがあっても、「おじいさん一人くらいは食べさせていけるやろう」とも(笑)。当時の小雁さんは、離婚のたびに財産を全部置いてきはるから、貯金はゼロでした。でも、そこはケチったらあかんところ。そやから、小雁さんは、別れた奥さんからも家族からも恨まれてへんのです。お人柄ですね。
小雁 いやいや。(笑)
寛子 コロナ自粛の前は、東京で公演があると、最初の奥さんの息子さんご夫妻、とも子さんとそのお子さん2人、私たち夫婦の総勢7人で一緒にごはんを食べに行っていました。また、みんなで行きたいですねえ。
小雁 そうやね。
寛子 とも子さんのお子さんは、長い休みのたびにうちで過ごしてくれました。結婚して1年後だったかな。2人が初めて遊びに来てくれたんですけど、あまりにも楽しくて、一生つき合っていきたいと思ったんです。
小雁 うんうん。
寛子 そのお子さんも結婚して、子どもが生まれて。家族がどんどん増えて、今や一門ですね。
小雁 (困ったなあという顔で)いやいやいや!
寛子 ね。いつも、こんなふうに面白いリアクションをしてくれはるんです。ケアマネさんの月1回の面談時も、「この人、何しに来はったんや?」って聞かはるから、「小雁さんが私にいじめられてへんか見にきてくれてはんねん」と言うと、「ふるるるる~」。いかにもかわいそうな顔で泣きまねして、笑わせてくれます。
小雁 ははははは。