認知症は、そんなに怖い病気じゃない
寛子 小雁さん、今は、どんな仕事がしたいですか?
小雁 やっぱり舞台やねえ。
寛子 仕事の時はいつも「楽しかった!」って嬉しそうですもんね。きっと脳にもいい刺激になってると思います。私、主治医の先生に愚痴ったことがあるんです。「『温泉行きたい』って言うから連れてったのに、帰った途端、また『行きたい』って言うんです」って。
すると先生が「残念に思うでしょ。でもね。お湯が気持ちいい、料理がおいしいといった『種』は必ず残ってますよ。その種がたくさんあればあるほど穏やかになる。『いい種』をたくさん蒔いてあげてください」と。
この話を聞いてから、イライラすることが減って、「今、種を蒔いてるんや」と楽しめるようになりました。今は「忘れてくれてええよ」と心穏やかに受け止められます。
小雁 (しぐさで「たばこ、ちょうだい」)
寛子 たばこ? たばこはないから、ラムネでいいですか?
小雁 (がっかりして)ふえーん。
寛子 禁煙2ヵ月目なんです。
小雁 (ほほ笑みながら、仕方なくラムネを口にする)