(写真提供:photoAC)
放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する連載。第25回は「渡辺徹さんと榊原郁恵さんご夫妻のこと」です。

《おしどり夫婦》と呼ばれて

「よく《おしどり夫婦》って言っていただくんだけれど……」とは、11月28日、敗血症のため61歳という若さでお亡くなりになった渡辺徹さんが度々口にしていらした言葉です。

その理由はいくつかあって、まずは、妻の榊原郁恵さんと共に「芸能界きっての《おしどり夫婦》として知られる…」と紹介されることが多いことへの不満。「誰が俺んとこを知ってるんだ? 誰が決めたんだ?」と番組がつけた紹介ナレーションにツッコミを入れておられるのを見たことがあります。

もっと踏み込んで「けんかもたくさんしているし、フツーの夫婦だし……」と夫婦関係を説明されたことも何度もありました。

5日、家族葬を終えた榊原郁恵さんと長男でタレントの渡辺裕太さんが「ホリプロ」内で《涙なし》の会見を開いた際、徹さんが言っておられた「おしどり夫婦ではない」という意味がわかった気がしました。

こんなときに会見をする必要があるの? と思われる方も多かったでしょう。ですが、10代の頃から芸能界で活動していて、「ホリプロスカウトキャラバン」がきっかけでデビューしてからずっと同事務所に所属してきた郁恵さんにとって、往年のスターさんのように、「いい報せのときだけマスコミを呼んで、そうでないときカメラの前に立たないのは違う」というお考えがあると思われます。それは森繁久彌さんや北島三郎さんと同じお考え。お二人も過去に、御自分よりも先に旅立った若い御家族について報告するため、《直後》にカメラの前に立たれたことがありました。