この記事の目次
〈症状〉「言葉につまる」から「発汗」「震え」までも 〈原因〉過去の状況を思い出すことで起こる
〈治療〉投薬が効果的。半年でほとんどが治癒
〈予防〉早寝早起きでセロトニンの分泌を

〈治療〉投薬が効果的。半年でほとんどが治癒

社交不安症の治療は「薬物療法」と「精神療法」ですが、一般的には薬物療法が中心です。「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」「抗不安薬」「β遮断薬」の3種類の薬が使われます。ただ、抗うつ薬のSSRIが社交不安症によく効き、治すことができるとわかってからは、SSRIがメインの治療薬となりました。

SSRIは脳の神経伝達物質の1つ、セロトニンに関わる薬です。セロトニンは不安や緊張、恐怖を抑えて感情を安定させる神経伝達物質。扁桃体が過剰反応すると神経細胞間のセロトニンが不足してしまいます。SSRIは脳の神経細胞の間でのセロトニンの減少状態を改善するように働くので、脳の過剰反応が抑えられ、不安や恐怖が軽減されるのです。私の治療経験では、SSRIだけで約90%の患者さんが半年~1年で治癒しています。服用して2週間くらいで薬の効果が表れ、半年でほとんどよくなります。しかし、再発することがないよう1年程度は服用を続けます。もちろん、薬なので時に副作用(めったにありませんが吐き気など)はありますので、十分に医師の説明を受け理解したうえで服用してください。

精神療法は「認知行動療法」が中心。認知行動療法は不安の原因となる偏った認知(思い込み)を変え、それにより現実に立ち向かう行動がとれるように変えていくものです。

社交不安症は治る病気ですが、病気と思わずに放っておくと、ほかの心の病気を併発することも。なかでも気分障害を併発する人が最も多い。自分の症状を「性格」ではなく「病気」と認識し、早めに受診することが重要です。

 

表:併発するおもな病気
* 表のように、複数の病気を併発する人もいる
National Comorbidity Surve(y アメリカ、1998)より