この記事の目次
〈症状〉「言葉につまる」から「発汗」「震え」までも 〈原因〉過去の状況を思い出すことで起こる 〈治療〉投薬が効果的。半年でほとんどが治癒
〈予防〉早寝早起きでセロトニンの分泌を

〈予防〉早寝早起きでセロトニンの分泌を

不安は誰にでもあります。そのようなとき、人は自律神経である交感神経と副交感神経のバランスがうまくとれていないのです。そのバランスを自分でコントロールするには、呼吸を整えるのが効果的。腹式呼吸を1分間に10回程度行うと落ち着きます。また、規則正しい生活も重要です。社交不安症の人は脳内のセロトニンが不足していることがわかっています。朝早く起きて昼型の生活を送りましょう。なぜなら、セロトニンは眼の網膜が太陽の光に刺激されることなどによって作られるからです。

しかし、社交不安症は一人ひとりの問題というより《社会環境》に影響されます。社交不安症が正式な病名ですが、私は病名として「社会不安症」を提案しています。なぜなら疾患名を付けたアメリカでよくある「社交的な場面」での特殊な問題ではなく、かつての病名「社会不安障害」が示すように、社会全体で対応する必要があるからです。

日本語での表現がそのまま世界で通じるのが「引きこもり」。この中には社交不安症が原因のケースも多い。だからこそ学校の保健体育の時間に社交不安症を教え、先生も子供たちも、そして親も地域も正しく知ることが大事。それが引きこもりを、社交不安症患者をつくらない予防策です。

 

表:引きこもりの原因になっている心の病気
内閣府「ひきこもりの評価・支援に関するガイドラインのための調査より」 国立国際医療センター国府台病院 齋藤万比古氏作成(2010年)