カメラやスマホのカメラの機能も進化し、「上手な」写真は誰もが撮れるようになりました。では、そのなかでプロはどのように「人の心を掴む」写真を撮っているのでしょう?
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第11回は「主役との比較対照になる被写体」です
オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトとして撮影してきたフォトグラファーの相原正明さん。撮影における心得を記した『光と影の処方箋』(玄光社)から、一部を抜粋する新連載。相原さんが提唱する、被写体を通して心情を表現していく「写心術」とはーー。第11回は「主役との比較対照になる被写体」です
比較対照がなければ自然の大きさは伝わらない
〔 撮り方 〕
鳥海山鉾立。車で行けて雲海が撮れるポイントだ。
超望遠から広角レンズまで装着して、ずらりと三脚3本を並べた。
特に遠景の山並みと変化する雲を組み合わせると、超望遠レンズの使用頻度が一番高い。
雲のメリハリをつけるために、コントラストを高めに設定。最初は雲のトーンは良かったが、雲が厚すぎて山並みが見えずスケール感が出なかった。
そんなとき、雲の一部が切れ下界の田んぼが見えた。これを比較対照の被写体にして、雲海のダイナミックさとスケール感が出るように、田んぼを画面右下に配置。
これで左に間ができて空間が広く見え、雲海を生き物のように見せられた。