一目惚れして買うのは一瞬だが、お別れするのは大変だ(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは岡山県の30代の女性からのお便り。約20年前に奮発して買い、大事に手入れだけはしていたブランドバッグ。使いこなせず、売ることにしたけれど――。

大切なバッグを売る

約20年前、社会人になった頃に購入した、イタリアの有名ブランドのトートバッグを売った。当時、17万円超えの買い物は大きな決断が必要だった。だが、裏も表も本牛革のバッグは想像以上に重くて5分ほどで身体が傾き、頭痛がしてくる。

結局、半月ほど使って押し入れにしまい込んだ。とはいえ年に1度は取り出してブラシをかけ、クリームを塗り、大切に保管。重厚感のあるひんやりとした感触は決して嫌いではないが、どうしても使いこなせず。

わが家は、ハザードマップで確認すると浸水地域に当たる。大災害が起きる前に、ため込んでいる荷物を手放したいと考えた。バッグも必要としてくれる人に使ってもらうほうが幸せだろう。

ちょうどデパートの催事でバッグや宝石の買い取りをするとの案内が届く。「べたべたした状態でも金具がとれていてもかまいません」と謳っているではないか。