「追悼・渡辺徹さん 周りに元気をくれる気遣いの人。榊原郁恵さんとは、依存し合わない自立した「おしどり夫婦」だった」はこちら

 

前田忠明さんのこと

 前田忠明さんはワイドショーで発言なさる時には「前から知っていたんですけれど」「先に聞いていました」と前置きをしてコメントされていたのを思い出します。

 フジテレビ系ワイドショー『おはよう!ナイスデイ』や『情報プレゼンター とくダネ!』のリポーターや芸能デスクとして視聴者にもおなじみだった「前忠(まえちゅう)さん」「忠明(ちゅうめい)さん」こと前田忠明(ただあき)さんが9月28日、午後4時30分頃、くも膜下出血のため、亡くなっていたことがわかりました。享年81。

「一度、心臓の手術をされたのですが見事に生還されてから健康にはすごく気を付けていらしたのに」とは後輩リポーターの女性。
「これまでにも何度か大病をされて、それでも復帰しておられたので今回も信じていたのに」とフジテレビ関係者の多くが残念がっていました。前忠さん、都内の御自宅で転倒され、すぐに病院に搬送されるも、帰らぬ人となったそうです。

 梨元勝さん、鬼沢慶一さん、須藤甚一郎さん、福岡翼さんら、ワイドショーでおなじみの男性リポーターさんの多くは週刊誌やスポーツ紙の記者出身。前田さんも『女性自身』の芸能記者を経てテレビの世界へと入られました。

 関係者が口を揃えるのは「芸能プロダクションとテレビ局の関係を上手にとりもっていたのが前忠さんだったから、居なくなっちゃったら、フジテレビはすごく困ると思う」ということ。「バランスをとるのが絶妙で、話し方も常に穏やか。あまり、グイグイといくような方ではなくて、対事務所、対タレントさんとも『穏便に』というタイプだったと思います」とは、別の後輩リポーター。「電話1本で裏どりできる人脈の豊富さは、恐らくナンバーワンだったのではないでしょうか」と。

 だからこそ、スクープを率先して取りに行くというよりは、冒頭のコメントのように、自分は前から知っていたのだけれど公にしなかった…というケースもあったのだと思います。

 これに毎回、噛みついていたのが梨元さんでした。「また同じことを言っている!」「知ってたなら先に言えばいいじゃないか」と。私はどちらかというと、梨元さんとのお仕事のほうが多かったので、それを真に受けて「そうですよねぇ」と話を合わせていたのですが、前忠さんの近くで仕事をしていらした方は皆、「いや、本当にすべて御存知だったんだと思いますよ」と言います。

「『恐縮です』と言いながら、相手に食い込んで行ってスクープをとる梨元さんとは、いい意味で正反対。タイプの異なる良きライバルだったと思う」と仰っていました。