前忠さん、どうぞ安らかに
芸能スキャンダルが花盛りの頃は、月~金の帯番組に朝はもちろん、午後帯にも出演することがあった前忠さんでしたが、土曜日は、前日がどれだけ遅くても早起きし、釣りに出かけていらしたのだとか。大物が釣れて、フジテレビ系列のスポーツ紙『サンスポ』の釣りの面に、前忠さんが魚を手に笑顔で出ていたことも一度や二度ではなかったそうです。
それにしても、冒頭にお名前を記した芸能リポーターさんの多くが亡くなられてしまいました。たまに昔の映像をワイドショーなどで目にすると、スーツをお召しになった男性リポーターのオジサマたちが、いまからすれば、どうしてそんなに厳しく追及するのかと不思議になるほどタレントさんに切り込む様子が確認できます。
私は現場にはいませんでしたが、そうした映像を見て、原稿を書いたり、コメントしたりしていました。タレントさんと芸能マスコミの関係は、全く異なるスタイルとなり、結婚や出産など、おめでたい話でさえ、紙きれ1枚での報告や、SNSを利用しての発表が当たり前になっています。
だからこそ、訃報についても「亡くなっていた」という過去形が目立ち、くしくも前田忠明さんも、亡くなられてから約2ヵ月半後の発表でした。それがとても淋しかったです。19日、『めざまし8』では報じられ、コメンテーターの橋下徹さんや古市憲寿さんが、前忠さんのお人柄に触れるひとときがありました。
「嫌われることを引き受けてるというか、でも最近のユーチューバーみたいに全部暴露するわけじゃなくて、すごく葛藤があった人」「本人も嫌われ役だとわかって芸能リポーターしてて責任を果たすけれど、その先に芸能人のことを実はけっこう考えていた方」と古市さん。橋下さんは「政治家になったあとも挨拶させてもらった。『しんどいだろうけれど思う存分頑張ってね』と声をかけていただきました」と。
お二人のコメントからも前忠さんのお人柄が伝わってきました。もっともっと前忠さんのことをよく御存知の方にも話してほしかった…と思ったのも正直な気持ちです。
でも、交友が深かった方も皆さん、御高齢だったり、亡くなられていたりするのでしょうね。それがやっぱり、とても、とても淋しいのです。前忠さん、どうぞ安らかに。
前田忠明さんの御冥福を御祈り申し上げます。合掌。