次に続く人たちの灯台になること

長くアーティストをやってきて、大きな困難といえるのが今回のコロナ禍です。音楽業界も大打撃を受けました。

そんななか、関係のある小さな制作会社の社長さんが自死されたことを知りました。キャンセル料、チケットの払い戻し、それが数ヵ所の大きな会場ともなれば何千万という大変な金額になる。体力のない小さな会社は持ちこたえられません。

ツアーやライブが中止になれば、アーティストはもとより、音響、照明など制作にかかわっているスタッフ、バックミュージシャン、グッズを作っている方たちなど裏方の人たちの仕事も消える。一瞬にして〈人生が蒸発してしまう〉のです。

僕は黙っていられなかった。国会議員の方々に会いに行き、現状を話し、要望を伝えました。けれども、いろいろなシステムはできても問題だらけ。融資という名の借金は、コロナが収束せず、生活も元に戻っていないのに、すでに返済が始まっています。そういう政府の対応に対して僕は物申すし、SNSでも発信し続けています。

「音楽屋なら歌っていればいいんだよ」と、反発や誹謗中傷も多い。だけど僕は、音楽に携わっている人間だけでなく、困窮している国民が絶望せずにすむように、声を上げ続けます。

この先また何かが起きたとき、僕よりも下の世代の人たちが「今度は俺たちが動く番だ」となるよう、次に続く若い人たちにとっての灯台になるのも僕らの役目かなと思うのです。