(イラスト:みずうちさとみ)
介護に備えて資金を準備していても、しかるべき手続きをしていないと、認知症の介護にそのお金を使えなくなってしまうことをご存じですか? ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、75歳になったらお金の対策が必須だと話します(構成=内山靖子 イラスト=みずうちさとみ)
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老後のお金は用意だけでは不十分
資産は整理し、託す先を決める デメリットも把握してしっかり検討を 《メリット・デメリットを比較》認知症に備えるお金の対策あれこれ 【家族信託】 【代理人カード】 【信託銀行のサービス(サポート信託)】 【生前贈与】 【成年後見制度(法定後見)】 【成年後見制度(任意後見)】 >>注意!<<

老後のお金は用意だけでは不十分

私のもとへ介護費用の相談に来られる方の多くは、家族が認知症になった後にいらっしゃいます。しかし、このタイミングでできるお金の対策はほぼありません。

なぜなら、認知症で意思能力がないと判断されると、本人はもちろん家族であっても、預貯金の引き出し、定期預金の解約、不動産の売買や賃貸契約などは簡単に行えず、株や投資信託などの有価証券については所有者が亡くなるまで換金できないからです。

以前、親が約1億円の老後資金を用意していたにもかかわらず、9000万円近くが有価証券だったため、現金化できずに困っているというご家族から相談を受けたことがあります。

しかし解決策はなく、本人が希望していた介護付き有料老人ホームの入居費用を支払えず、特別養護老人ホームの空きを待つしかありませんでした。

このように、老後のお金は用意しておくだけでは不十分です。準備したお金を、自分の希望どおりに使うための仕組みづくりまで行わなければいけません。認知症になる可能性が誰にでもある時代、遅くても後期高齢者の75歳になったら、次にご紹介するお金の準備を進めましょう。