吉田類さんの最新刊『酒場詩人の美学』(吉田類:著/中央公論新社)

新鮮なオンラインでの再会

テレビの「酒場放浪記」もコロナになってからは家飲み編に。僕が自宅でお取り寄せの品を肴に酒を飲みながら、前に番組で訪れた各地の酒場や蔵元の方とオンラインでやりとりをしました。

プライベートでオンライン飲み会もやりましたよ。最初はビデオ通話が繋がらなかったり、途中で切れちゃったり。みんなも不慣れでね(笑)。もうだいぶ慣れてきました。

オンライン飲み会は、妙に新鮮です。遠くの人間と会えるわけですから。「酒場放浪記」のスタッフたちとも何度もやりました。

そうそう、近々、オンライン句会をやる予定です。今年の1月から『新潟日報』に俳句コーナーを持っていて、そこに投句してくれる人たちと句会をやるという企画です。

このコーナーには85歳とか90いくつの方がすごく斬新な句を作ってくるんですよ。そういう人たちにもぜひ参加してもらいたかったんですけど、高齢の方はオンライン参加は苦手だそうで、比較的若い人が多くなるみたいです。初めて会う人も多いので、楽しみですね。

緊急事態宣言が解除されてから、少しずつ外に出る仕事を再開しています。「酒場放浪記」のロケにも行きました。ただ、今回は、以前のようにほかのお客さんたちと「カンパ~イ」というのはナシ。お客のいない開店前にお邪魔して撮影しました。店のなかでは距離をとって、僕以外はみんなマスクをかけて。もうしばらくは、番組も、元通りというのは難しいかもしれません。これは仕方ないですね。

僕は年齢の割には体力はあるほうなんで、これは、根拠はないんですけど、コロナにかかっても無症状の可能性が高いんじゃないかな、と思っているんです。だから、お年寄りのやっている酒場に行って──いや、僕も年寄りなんだけど(笑)──うつしてしまってはいけないと肝に銘じています。こういう仕事をしているからこそ、気をつけなければ、と、今も1日2回は体温を測っています。自分はなんともないけれど、無症状の感染者かもしれない、ということは常に考えて行動していますね。

風の便りに、以前「酒場放浪記」で訪れた店がコロナのせいで閉店したという話も聞きますが、そういう話を聞くのはとても寂しいですね。