毎週月曜夜9時からBS-TBSで放送中の『吉田類の酒場放浪記』、大晦日恒例の4時間特番『吉田類の年またぎ酒場放浪記~姫路・倉敷・尾道・岩国へ!西国街道300キロ城めぐり酒蔵めぐり&樽酒鏡開き4時間SP~』が、12月31日(土)夜9時~2023年1月1日(日)午前1時にかけて放送されます。江戸時代に西の交通の要所として栄えた、京都から下関までを結ぶ「西国街道」を呑みめぐりながら、地域の産業や歴史的建造物などにも迫る、盛りだくさんの内容です。今回は、『中央公論』2020年8月号に掲載された、コロナ禍での生活を語った吉田類さんのインタビュー記事を再配信します。
酒場や旅をテーマに執筆を続ける詩人の吉田類さん。新型コロナウィルス流行の影響で、出演番組「吉田類の酒場放浪記」(BS-TBS)も、プライベートも、一時「家飲み」になったというが……酒場詩人が過ごした5ヵ月とはーー(『中央公論』2020年8月号より)
高知のオイルサーディンをお取り寄せ
3月以降、ずっと東京・八王子のアトリエで過ごしています。
今日は朝5時に起きました。鳥がピーピー鳴くのが聞こえて。ゴミ捨てに行って、掃除をして、庭に水をまいて、花の面倒を見る。バラを育てているんです。この僕が花を愛でるようになるとはね(笑)。
以前は、歳をとって体がキツくなったら花でも育てようと思っていたんです。コロナで越境できないということは山にも行けない。それだったら、自分で緑を育てよう、と、バラの苗を買ってきました。目の前に緑があるっていうのはすごく救われますね。
毎朝、掃除の後は丁寧にお茶を淹れます。それから軽いトレーニングで体を整えて、時間に余裕があれば裏山に登っています。こんなに家で過ごすことになるとは思いませんでした。これまで旅から旅で、花に目を向ける時間なんてなかったですよ。コロナのせいで時間を手に入れた、というところはありますね。「酒とバラの日々」です。(笑)
緊急事態宣言中は、酒場に行けなかったので、家飲みばかり。お酒やつまみも取り寄せてね。今回の自粛で、初めて「お取り寄せ」をするようになりました。今までは、極端に言えば、全部外食でしたから。
お取り寄せをしてみたら新発見だらけ。日本ってこんなに食文化が豊かなんだと改めて感じました。それでちょっと太っちゃったんですけど。(笑)
たとえば、高知のウルメイワシのオイルサーディン。一本釣りのイワシが1匹丸々そのまま入っている。普通のオイルサーディンは小さいでしょう。あれとはサイズが全然違ってデカい。これがめちゃくちゃ美味しいんです。僕は高知出身ですが、僕の知らないものがまだあったんですね。