初場所は十両も目が離せない

ところで、なぜ急に貴景勝を応援することにしたかというと、1月7日にNHKBS1で放映された「大相撲どすこい研」を見たからだ。巡業の本場所への効果について紹介され、観客を前に部屋に関係なく行われる稽古で、貴景勝が熱海富士に胸を出して、5分以上もぶつかり稽古をつけていた。

熱海富士は先場所新入幕として期待されたが前頭15枚目で4勝しかできず、十両に落ちてしまった。貴景勝とは初場所に対戦するはずはなく、同じ部屋でもない。しかし、貴景勝は、熱海富士の強くなりたい気持ちと将来、そして大相撲の将来を考えているのだ、と思った。

過去も現在も親方の中には「相撲が強いだけでなく人間的に優れた力士を育てたい」と発言する人がいる。初場所前に、名古屋場所(7月)に優勝した逸ノ城は、コロナ禍での日本相撲協会のコンプライアンス違反のために1場所休場、伊勢ケ濱部屋は力士の暴力事件により、伊勢ケ濱親方(元横綱・旭富士)が責任をとって理事辞任届を提出した。その不祥事により、よけい貴景勝を応援したくなった。

また、貴景勝は首が悪いと言われている。

私は子どもの頃から肩こりがひどく、いろいろ施術をしてきたが、最近になって頸椎(首)が悪いことが判明。現在、脊柱管狭窄症の名医にかかっているが、その医師に「どういうふうになったら首の手術になりますか?」と尋ねた。その医師は「あなたが得意な突っ張りができなくなった時だ」と答えた。

私は高齢者女子相撲をやっているわけではないが、相撲ファンであることは知っていて、医師は分かりやすく言ってくれたのだ。貴景勝の大変さが理解できた。取りこぼしなく、立派な初場所を極めてほしいものだ。

初日に、この取組はなんだ??と思ったのが、関脇に落ちた正代と先場所関脇で10勝すれば大関に戻れたのに逃した前頭2枚目・御嶽海との対戦だ。正面解説の北の富士さんは、「好取組」と話していたが…。御嶽海が寄り切りで正代に勝った。正代は取組中に不利になるとあわてて力を出そうとするように見える。体格も良いし素質もあるのに、もったいなさすぎる。立ち合いから豪快な力を出してほしい。

初場所は十両も目が離せない。元大関の朝乃山が関取に戻ってきた。コロナ禍のコンプライアンス違反で6場所連続休場となり下から這い上がってきて、初場所は十両12枚目で登場。十両土俵入りでは、観客の最大の拍手だけでなく、マスクごしの「ワォー」の歓声が聞こえた。土俵入りでも取組の仕切りでも、テレビ画面から朝乃山の緊張が伝わってきた。初日は、以前から名前がカッコイイと思っていた十両12枚目・貴健斗(たかけんと)を突き落として勝った。

緊張といえば、正月の楽しみに1月2日と3日に日本テレビで放送される箱根駅伝(関東学生陸上競技連盟主催、読売新聞社共催)がある。後方の選手が追い抜こうとする時、たすきを繋げない、シード争いなど、見ていて緊張する。10位だったが印象に残ったのが東洋大学のスローガン「その一秒をけずりだせ」だ。大相撲も対戦相手の押す力にめげず、「その1歩をけずりだせ」だ。私は、申し訳ないがその言葉を応用させていただき2023年の自分のモットーにした。「その1円をけずり出すな!」だ。独身女性の年金は少なく、さらに減らされ、いろいろ値上がり。このご時世、節約に専念するのだ。

友人がめぐんでくれた2023年日本相撲協会のカレンダーに添えた今年のモットー「その1円をけずり出すな!節約!!」
 

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