圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第38回は「オペラグラス越しのアイコンタクト」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
「次の台詞何だっけ…?」
夢を見ました。
見覚えのある舞台。
私はまだ男役で、私の役は、スティーブ・ルベル。
世界中のセレブを魅了したニューヨークの伝説のディスコ「STUDIO54」の支配人。
腕の中には想い人、カリスマロックシンガーZ-BOY。
ベッドの上にバラまかれた札束。
そして次の場面、一斉にオペラグラスが上がり、
そのオペラグラスの光に目を奪われ、台詞を忘れた…
次の台詞なんだっけ??
ヤバい…
という恐ろしい夢。
妙にリアルでした。
今でも時々夢に見ます。
台詞を忘れた、挨拶を考えてなかった、というものすごく焦る夢を。
それはそれは恐ろしい夢です。