プラセボと分かっていても効果あり

砂糖の錠剤で頭痛が治るのは興味深いが、もっと奇妙な例もある。一つはプラセボ手術だ。ある研究で変形性膝関節症の治療を試みた。痛みを伴う治しにくい病気だが、手術によって痛みが軽減することがある。

医師たちは患者に麻酔をかけ、膝を切開した。しかし実際に手術したのは数人だけで、他の患者については最初に切開した以外は何の処置も施さずそのまま傷口を縫合した。

医師たちはその事実を患者に告げなかったので、患者たちは実際に手術を受けたと思い込んだ。すると信じがたいことに、数ヶ月後、プラセボ手術を受けた人々には実際の手術を受けたのと同程度の効果があった。二つのグループはどちらも同じように痛みが軽減したと報告したのである。

プラセボを使うことを患者に伝える研究さえある。医師たちは患者にこう告げる。

「これは単なるプラセボです。わたしたちは何もしません。けれども、これまでの研究により、プラセボには治療効果があることがわかっています」。すると、このプラセボは効果を発揮する。ある研究では、過敏性腸症候群の患者に砂糖の錠剤を与え、患者たちに包み隠さず伝えた。それでも患者たちの症状は改善した。

というわけで、アドバイスを守ればきっと長生きできる、とあなたが信じるのであればあなたは長生きできるだろう。もちろん、長生きに関して「思考は現実になる」とは言い切れないが、それでも、実年齢より若い気でいる人の方が長生きしやすいことを複数の研究が示している。同様に、楽観的な人は長生きしやすいことも。