実は有毒な植物たち
別の好例はトウガラシだ。トウガラシにはカプサイシンと呼ばれる化合物が含まれ、食べると口の中がヒリヒリする。哺乳類がトウガラシを食べると、種が砕けてカプサイシンが放出される。そのため、哺乳類は二度とトウガラシを食べなくなる。
一方、鳥は種を丸ごと飲み込むので、痛い思いをせずトウガラシの種を広範囲にまき散らす。よくできた進化のシステムである。
植物はただ受動的に食べられているわけではないという事実は、植物の健康効果を語る時に見落とされがちだった。植物をたくさん食べることは健康に良いという証拠は多い。その理由についてはまだ議論が続いているが、ホルミシス(逆境が生物を強くする現象)は確実に理由の一つだ。
例えばポリフェノールは、植物が健康に良い主な理由の一つとして長く賞賛され、抗酸化物質として人間を助けていると考えられていた。だが、実は人間にとって少々有毒で、ホルミシス効果で人間を健康にしていることが判明した。
その証拠に、人間の体はポリフェノールの影響を中和しようとすることが研究によって明らかになっている。ポリフェノールを摂ると、Nrf2と呼ばれる転写因子が活性化する。それは細胞の防御機構を調整する転写因子で、放射線を浴びた後も活性化する。