ネコによる温泉発見の由来や伝説

●猫啼(ねこなき)温泉(福島県石川郡石川町)

この地で生を受けたと言われる平安時代中期の女流歌人・和泉式部は少女の頃、コンコンと湧く清水のほとりに来ては水鏡で顔を洗い、髪を梳き、美しい乙女に育っていった。

少女の頃、式部は「玉世姫(たまよひめ)」と呼ばれ、愛猫は「そめ」という名が付けられていた。その後、式部が都に召されることになり、愛猫を当地に置いて出掛けた。

残された愛猫は式部を慕い病み衰えたが、日毎この泉に来ては啼き、泉に浴しているうちに病が癒え、美しいネコとなった。

ネコを憐れんで見守っていた里人たちは、これを見て初めて泉が霊泉であることを知り、「猫啼温泉」と名付け、湯治場を開いた。

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