計測や検査方法を学ぶ

ヘンプを使って学生が分析するのは、まずテトラヒドロカンナビノール(THC)の含有量だ。THCが、いわゆる「ハイ」になった状態を作り出す物質だ。娯楽用途の大麻では、消費者に有効成分がどの程度含まれているかを示すために計測する必要がある。

THCを含め、大麻には成分が100種類近く含まれているため、それぞれ測る方法を学ぶ。また、どの農作物でも検査される重金属の含有量など、有毒な成分が入っていないことを検査する方法も学ぶ。

中でも今需要が伸びているのが、テルペン類と呼ばれる香り物質の検査だ。テルペン類の検査を義務化しているのは2022年現在、ネバダ州のみだが、テルペン類がカンナビノイドと協働することで多種多様な効果が現れると考える消費者も多い。

「純粋なTHCだけでは、品種特有の使用感を得られなかった、とほとんどの消費者が言うのです。そのためテルペン類の効果は今、SNSや大麻関連のウェブサイトで話題になっており、消費者も学生たちも非常に注目しています」とキャンフィールドさんは語った。

※本稿は、『世界のヘンな研究―世界のトンデモ学問19選』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


世界のヘンな研究 世界のトンデモ学問19選』(著:五十嵐杏南/中央公論新社)

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