案の定、プロがいない

北ミシガン州立大学の学士プログラムは、「薬用植物化学専攻」という名のもとで行われている。キャンフィールドさんが専攻を設立したのは、化学の学会に出席した際、化学の専門技術を習得した技師が大麻業界で足りていないことを知ったからだった。

ミシガン州郊外の街と広い空(写真提供:Photo AC)

大麻の娯楽向け使用が合法の州では、大麻商品に含まれる有効成分の量や有毒物質の有無などを検査するような規制が何かしら制定されている。だが、今のところアメリカの各州は、「まだどうすれば良いのかよくわかりません」と言わんばかりに規制をコロコロと変えている。

キャンフィールドさんの言葉を借りると、大麻合法化が時代の流れとは言え、あまりに急速に流れが変わったため、各州があたふたと独自に試行錯誤を重ねているような状況だ。

そして大麻業界が様々な州であまりに急速に成長してきたため、インフラがまだ整っていないとキャンフィールドさんは話す。特に、娯楽向けの商品の成分検査の場合は顕著だ。

「大麻の育て方や、食品に入れるための加工方法などは注目を集めやすいですが、検査手法は大切なのにないがしろにされがちで、行き当たりばったりなのです。専門教育を受けず、検査機器の使い方をよく理解していない人が、なんとか機器を使いながら検査を行っているのです」

高等教育機関で化学物質の分析方法を学んできた人であれば、誰でも大麻の検査ができるはず。大麻に特化した専攻を作り、他の化学分野と同じように技術面をしっかり教えていけば、大麻業界で活躍する化学の専門家が育成できるとされているのだ。