大麻の科学やビジネスを教えるプログラムが全米のあちこちの大学で設立され始めているそうでーー(写真提供:Photo AC)
カジノやテーマパークなど、日本に住んでいると不思議に思うようなテーマを扱う授業が、世界にはたくさんある。各国の科学関連のニュースに触れているサイエンスライター・五十嵐杏南さんによれば、大麻が合法となっている地域を中心に、大麻の科学やビジネスを教えるプログラムが全米のあちこちの大学で設立され始めているそうで――

アメリカで大麻合法化のブームが起きている

北アメリカの学生街は、なんだかスカンク臭い。

学生たちがスカンクを飼っているわけではない。臭さの正体は、大麻だ。

日本は世界でも大麻に対して厳しい取り締まりが行われているほうで、大麻の栽培、所持、譲受・譲渡が原則禁止されている。医療目的限定で大麻使用を認めている国もあるが、日本では大麻から製造された医薬品の使用は誰であっても認められていない。

一方、アメリカでは大麻合法化のブームが起きている。まだ国単位ではいかなる使用も認められていないが、アメリカは州ごとに法律が制定されており、年々大麻の使用を許容する州が増えつつあるのだ。

1996年にカリフォルニア州が医療目的に大麻の使用を認めたことを皮切りに、徐々に過半数の州が医療目的での使用を認めるようになった。そして2012年にコロラド州が娯楽目的での使用を認めるようになってから、以後10年の間に4割近くの州が娯楽目的での使用を認めるようになった。

要するに、国がダメだと言っても、州は良いと言っている矛盾した状態が続いている。大麻の使用を認めるべきか否かは大きな政治的議論の的であり、アメリカ社会の分断がよくわかる一例でもある。