ありのままの自分でいたい

誰もが知っている超大手企業で「転職する若手がとても多い」という話を聞くことはもはや珍しくない。「このままだと、いつまでも自分の名前で仕事できないモヤモヤ感を抱えながら働き続けることになる」、そんな気持ちで職を転ずる若手の声をたくさん聞くことができる。

大手企業で目の前の仕事に黙々と取り組む中で、SNSでかつての同級生が起業したり、副業で活躍をしていたり、メディアに出たりするのを見ることもある。そんなとき、モヤモヤ感は最高潮となる。

経済社会の急速な変化の中で、点描した若者の声は、"逃げ切り"が不可能だとわかっている中でもがいている姿である。

こうした中で、若者のキャリアづくりはどのように変わっているのだろうか。仕事に対する考え方や価値観について聞いていったところ、出てきたキーワードを2つのグループに整理できることに気がついた。

ひとつは「自分が良いと思ったものを大事にしたい」「"ありのまま"でいたい」といった意味の言葉、もうひとつは「なにものかに早くなりたい」という意味の言葉である。

1つ目の「自分が良いと思ったものを大事に」「"ありのまま"働きたい」。具体的にはこのように発言される。

「自分が好きな場所で働きたい」
「休みを好きなときに取れる職場で働きたい」
「自分が後悔なく仕事をしたい」
「30歳までには結婚したいのでそれができる仕事を」
「家族を優先するスタイルで仕事をすること」
「身近な人を裏切らない仕事」

こうした、自分が良いと思う仕事をありのまましたい、という声である。ナンバーワンからオンリーワンへと言われ、"個"を尊重しようとする時代の中で、そのままの自分で、自分が良いと思うものを軸にして、自分自身のままに、といった価値観を大事にしながら就業しているスタイルが見えてくる。