若手社会人のキャリア形成において、「スモールステップ」が鍵(提供:photoAC)

アクションと性質

若者のキャリアを変える、または成長するための重要なファクターと考えられるスモールステップについて、例を挙げておく。調査において表れていたのは例えば、以下のような小さなアクションであった。

・ やりたいことはみんなに話してみる:自分が挑戦したいこと、思っていることを知人・友人に話して、伝えること。自己開示すること。

・ 初対面の人とも積極的に会う:自分が日々接している人々だけではなく、全く付き合ったことのない人々とコミュニケーションすること。小さな他流試合をすること。

・ 友達に誘われたイベント等に行く:自分が自発的に実施する・参加するものだけでなく、他者の誘いの機会を利用して行動をすること。"他律"からはじめること。

・ LINEやメッセンジャーなどで目的に合わせたグループをつくる:その場でスマホで数秒あればできる小さな行動であり、今すぐできることを厭わずやってみること。

これらのスモールステップは、以下のような性質を持つと考えられる。

性質1: 目標が明確でないときでも起きる(しかし目標明確化後に役に立つ:潜在学習性がある)
性質2:必ずしも自律性は求められていない
性質3:それ自体では承認欲求など高次な欲求は満たすことができない
性質4:実は普通に行われているものであるが意図して行う人は少ない

夢や目標を持つことももちろん重要だろうが、性質1を考えれば、今自分ができる一番小さな行動をする、ということは目標が明確でない若者にとっての第一歩になりうる。

その第一歩については、性質2から、過剰に自律性に依拠する必要はなく、他者から誘われたり会社から指示されたことでも起こりうる。しかし、当然だが、小さな行動自体はそもそも誰にでもできるようなことであり、それを実行したことをSNSなどで自慢をしたり、職務経歴書に書くことはできない(性質3)。

ただ、普通に行うことができるアクションだからこそ、実は意図的に実行する人は少ない(性質4)。