スモールステップの3つの利点

小さな行動、スモールステップの利点はたくさんあるが、大きく3ポイントにまとめることができるだろう。

小さく始めることでリスクとコストを限りなくゼロにすることができる。ハードルが高いと感じるような大きなアクションは時間も勇気もいるし、会社の許可が必要なケースもあるかもしれない。しかしスモールステップにはそうしたリスクとコストがほぼゼロである。

また、小さく始めることで短い期間にたくさんのことを試すことができる。何が正解かわからない、何が自分にフィットしているのかわからない中、小さく試して大きく育てることの有用性はイメージできるだろう。

最後に、すぐにできないようなことではなく、今できる一番小さな行動に目標を絞ることができる。若者が夢や将来の目標に囚われすぎて、自分が行っていることの意味がわからなくなったり、情報を集めすぎて茫然とすることなく、ごくごく身近で今できる行動にエネルギーを集められるのだ。

 

※本稿は、『ゆるい職場――若者の不安の知られざる理由』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。


ゆるい職場――若者の不安の知られざる理由

「働きやすい会社」を、なぜ若者は辞めてしまうのか?
新時代の、若者・仕事・日本社会を紐解く――

「今の職場、“ゆるい”んです」「ここにいても、成長できるのか」。そんな不安をこぼす若者たちがいる。2010年代後半から進んだ職場運営法改革により、日本企業の労働環境は「働きやすい」ものへと変わりつつある。しかし一方で、若手社員の離職率はむしろ上がっており、当の若者たちからは、不安の声が聞かれるようになった――。本書では、企業や日本社会が抱えるこの課題と解決策について、データと実例を示しながら解説する。