彼ら・彼女らが保有する入社前の経験が、早々に自社を"見切る"判断材料を与えている(提供:photoAC)
厚生労働省が発表する新卒者の早期離職率(就職後3年以内の離職率)は、リーマンショック以降3割程度と一定水準にあるが、従業員が1000人を超える大企業に限れば離職率が上がる傾向にあるとリクルートワークス研究所主任研究員・古屋星斗氏は指摘する。その原因について、今の若者は学生時代に社会的経験を体験している分、見切りも早くなっているそうで――。

「社会的経験」をしている今の学生たち

現代の若者は就業に対してひとりひとり様々な価値観を持っている。こうした違いというのはどの段階で生じているのか。仕事をするなかで生じてきたのか、それともそれ以前から生じていたのか。当然ながら、社会人になる以前・以後のどちらにも生じうる変化だろう。変化のきっかけが起こりやすい世の中になっていると言えるかもしれない。

現代の若手社会人について検討するなかで、彼ら・彼女らの仕事の状態に与える影響が大きいものとしてある一つの要素が発見された。それが「入社前の社会的経験」である。

 

入社前の社会的経験に関する質問事項

学生時代既に社会・企業と接点を持って活動した経験の量について世代別に集計した。年代を追うごとに、社会的経験の量が増加している傾向を確認できる。

学生時代の社会的経験(入社年代別)

「多数(4回以上)」であった回答者は5.4%から11.5%へと倍増しており、同様に「複数(2-3回)」の経験をしていた者も32.5%へと増加し、2回以上の経験をしている者は合わせて44.0%に上っている。

他方で、経験が「全くない」者は現在の新入社員では27.5%と決して少なくはないが、各年代よりはその割合が低いことがわかる。

特に現在大手企業で管理職層となっているだろう、1999~2004年の入社者と比べて頂きたい。現代の若者との差がよくわかるはずである。かつては53.5%が「全くない」と答えていたのだ。