現在の新入社員の「不安」感は、入社前の社会的経験の量と一定の関係がある(提供:photoAC)

見切りの速さ

筆者はこの経験量が増えるほどに「どちらでもない」という回答者の割合が減少し、"自分の会社では成長できない"と思う若手と、"自分の会社で成長できる"と思う若手が分化している状況は、入社前の社会的経験が現代の新入社員にもたらした会社に対するある種の"見切りのはやさ"が顕在化したものと考える。

彼ら・彼女らが保有する入社前の経験が、早々に自社がどっちなのか"見切る"、判断材料を与えているのである。

初職離職率(2019─2021年卒、入社前の社会的経験別)

入社前に社会的経験があると"見切り"が早い、その傍証となるデータがある。新入社員の離職率だが、経験が多い層ほど高い結果となっている。

初職離職率は、経験「多数」では25.4%に上り、「単発」や「複数」グループでは20%前後。他方で「全くない」は11.7%と低い。

この結果は、自社のことを高く評価し前向きに業務に向かっている新入社員が必ずしも定着しているわけではないことを示しており、現代における新入社員と企業の関係の厄介さが表れている。