「社会的経験」がもたらすもの

学生時代にこうした社会的経験をすることの評価については様々な議論があるが、ここではその効果を検証することを目的としていない。ここで伝えたいのは、「入社前の社会的経験の多寡から、新入社員の仕事観の広がりが見えてくる」という点である。

例えば、初職(学校を卒業または中退した直後、初めて就いた仕事)への評価点については入社前の社会的経験の量が多い新入社員ほど高い傾向がある。

初職への評価点(10点満点、2019-2021年卒、入社前の社会的経験別)

4回以上のグループでは6.93点、2-3回では6.51点、1回では6.16点、全くないグループでは5.77点と経験が多いほど評価点が高い。入社前に社会的経験が多い若手のほうが自社のことが好きなのだ。

また、新入社員の自分のキャリアの現状認識のスコア(キャリア満足感スコア、いきいき働くスコア。高い方が充実している)についても、経験が多いグループがより高かった。

両スコアについて多少の差異はあるが、活動経験が「多数」のグループが最も高く、「全くない」グループで最も低い。もちろんこれは自己評価ではあるが、経験の多寡によって、若者の職場での満足感や仕事でのパフォーマンスがかなり異なっている可能性がある。