失恋には伏線ドラマ

と、ここまで作品紹介を読んで、ムズムズするものはないだろうか。あるとするのなら、わたしと同じ沼になってしまうが、ストレスを抱えているのでは? と思っていい。

この文章で提案したいのは伏線ドラマの鑑賞だけではなく、その先にある「ストレス解消」だ。

何かを考えながら見るというのは、抱えている問題から一気に離れる。つい「そんなことをしている場合ではない」と焦燥感に駆られるけれど、そういうときだからこその現実逃避は必須。

原稿を書く、ということを生業にして10年以上経過したわたしだからこそ、身をもって言う。「追い込まれたら、逃げろ」だ。ただし逃げる先はテレビに限る。

付け加えるとするのなら、失恋には伏線ドラマが非常にいい。破局後によくラブコメや、ロマンスを見て主人公になったつもりで物語に浸って泣け、という意見はある。

とんでもない、そんな行為は傷口に塩を塗るような危険行為だ。失恋なんてした日にゃ、食事することを忘れてしまうほどの、生命力を失う。何をやってもあの人とわたしがプレイバックしてくる、意気沮喪(そそう)とした日々……。

医者も処方箋をくれるわけがないので自分で探すしかない。そんなときは伏線ドラマだ。

脳を日常からまったく違う世界へと誘い、失恋したことを忘れる。そう、テレビなら寝っ転がって見ながら、ダラダラしたっていい。犯人を探し終える頃にはその傷口も回収されているはずだから。

※本稿は、『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


ベスト・オブ・平成ドラマ!』(著:小林久乃/青春出版社)

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