いつも魂のぶつかり合い

14日目の土俵を振り返ると、13日目を終えた時点で、3敗は貴景勝、阿武咲、琴勝峰、4敗は霧馬山、前頭筆頭・大栄翔、前頭14枚目・東龍。

14日目の正面解説の芝田山親方（元横綱・大乃国）は、放送の途中で実況の大坂敏久アナウンサーに、優勝争いについて質問され、「皆さんに勝っていただきたい」と、星のつぶし合いの戦いには実現不可能な返答をしていた。後半戦は、優勝にかかわる好取組に、見ている私は、力士が土俵に上がった時から、全身に力が入った。コンビニで買い、電子レンジでチンして温めたカスタードクリーム入りの太鼓焼きを、レンジから出し忘れるほど相撲に集中した。

まず、東龍が前頭14枚目・一山本に負けて5敗となり優勝争いから脱落。

後半戦になり、琴勝峰は大栄翔に寄り切りで勝ち、3敗を守り優勝への権利を獲得。次に3敗の阿武咲は、霧馬山に突き落とされて負けて4敗に後退。

そして、貴景勝が登場。相手は左足首を捻挫し、勝ち越しまであと1勝の関脇・豊昇龍である。立ち合いに豊昇龍は横に飛んだりするのではないかと思ったが、向正面解説の豊昇龍の師匠である立浪親方（元小結・旭豊）は、「真っすぐ行くと思いますよ」と言った通り、真っすぐにぶつかって行った。しかし、貴景勝は落ち着いていて、あっけなくはたき込まれた。

前日の13日目の貴景勝の戦いはすごかった。貴景勝は、子供の頃からのライバルである阿武咲と突き押しと張り手合戦を見せて勝った。貴景勝は熱戦により連日鼻血を出して頑張ってきて、この日も鼻血を激しく出していた。

13日目の向正面解説の押尾川親方（元関脇・豪風）は、この二人の対戦を「いつも魂のぶつかり合い」と感じているそうだ。