自分の終活を考えるのはいいけれど、独りよがりな選択は、家族にとって迷惑になることも。猪突猛進な親をもつ子どもたちの、胸のうちを聞いてみると──

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●夫と姑へ終活でリベンジする母

一昨年、母方の祖父母が相次いで亡くなりました。それがきっかけで死を身近に感じ、自分の行く末に不安を覚えた母(72歳)は、父(75歳)や私たち3人姉妹に何の相談もなく、終活をスタート。

「私は婚家の墓にも、実家の墓にも入りたくない。絶対、樹木葬にしてね!」と、自分で業者を探して生前予約をしてきました。これに激怒した父は、「じゃあ俺は、太平洋の真ん中で散骨してくれ!」と大人げない態度。

母は祖母との間に長年嫁姑の対立があり、それを見て見ぬふりをしてきた父を恨んでいたのでしょう。死んだあとくらい自由になりたいという母の気持ちもわからなくはないけれど、なにもお墓でリベンジしなくても。

今ある両家の墓をどうするのか話し合う様子もないし。自分たちの代できちんと始末して、後世に迷惑をかけないのが、本来の終活でしょう?(46歳・薬剤師)

 

●図々しすぎる父の後妻

昨年、父(86歳)が亡くなり、母が眠る墓に埋葬しました。実は、父には私と10歳違いの後妻がいます。その後妻、つまり私の義母に当たる人が、父と同じ墓に入りたいと言い出したのです。

母の死後、1年も経たずに結婚したその人とは、母の存命中からの間柄だったことが、最近判明。父の浮気癖に泣かされっぱなしの母でしたが、晩年は諦めていたようです。

父の再婚後、表面上は親子のつき合いをしてきましたが、心の底ではふたりを憎んでいました。血のつながった父が亡くなれば義母とも縁が切れると思っていたのに。母と同じお墓に入りたいだなんて図々しいにもほどがあります!

うちのお墓に入るということは、血のつながりのない私や、私の子どもや孫に亡くなったあとの世話をさせるということ!? 第一、母がかわいそうで絶対に認めたくない。

改葬して母のお骨だけ別のお墓に入れようかと、思い詰めています。(54歳・専業主婦)