親やパートナーと一緒に知っていくことが大切

高尾 クリニックでも、ピルの服用を親から反対されたという若い女性によく出会います。

低用量ピルを内服することで生理期間を不調に悩まされず過ごす選択肢もあれば、毎月生理を経験するのもひとつの選択肢だという高尾先生(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

ピルにかぎらず、医療を受けるかどうかは本来、自分自身で決めていいことなのですが、未成年となると保険や費用の関係から親の意見が大きくなります。

いまは親子間で、情報量にものすごく差がある時代だと思うんですね。若い人はネットメディアやSNSからたくさんの情報を得ています。

日本で低用量ピルが認可されたのが1999年で、普及率はいまも高いとはいえないので、親世代はピルの情報にあまりふれずにきたわけです。

だから子どもから親にピルの相談をしても、親はどう考えればいいかわからない。ネガティブなイメージを強くもっている人もいるでしょう。そこで頭ごなしに否定せず、一緒に知ってほしいなと思います。

子どもから「一緒に勉強しようよ!」という呼びかけがあってもいいし、親から「勉強したいから、いつもどんなところで情報を得ているのか教えてくれる?」と子どもにきくのもいいと思います。

相手が、親でなくパートナーでも同じことだと思います。彼氏や夫から反対された、と悩む女性もいるんですよ。

いまの時代、男性がピルについて知らなかったり、あるいは誤解していたりするのはしょうがないところがあります。知る機会がないので。

でも、つらい想いをしているのは女性本人です。ここでも「一緒に知っていく」というスタンスをおすすめしたいですね。

大吉 コロナ禍を機に、オンライン診療、処方が増えたと聞きますが、ピルについてはどうなんですか。お仕事などで忙しいと、病院にいく時間を作るのもむずかしいと思うんですが。

高尾 産婦人科医としては、一度は病院に来て! と呼びかけたいですね。オンライン診療では内診といって子宮や卵巣の状態まで診ることができないんですよ。

なぜ診たいかというと、「生理痛がつらいんです」「経血量が多くて困っています」というのは、病気のサインかもしれないからです。

※本稿は、『ぼくたちが知っておきたい生理のこと』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。


ぼくたちが知っておきたい生理のこと』(著:博多大吉、高尾美穂/辰巳出版)

漫才コンビ博多華丸・大吉の博多大吉さんと、NHK「あさイチ」でもおなじみの産婦人科医・高尾美穂先生が「生理」をテーマに語りあいました。生理のメカニズムについての解説はもちろん、男女約480人によるアンケートの回答も交えながら、生理痛やPMS(月経前症候群)への理解を深めたり、生理にまつわるコミュニケーショントラブルや社会レベルの課題について、一緒に考えます。