豹変する親友の表情。そしていじめが始まった

そして私は和美を呼び出した。注意するときには言葉を選んだ。世間一般の道徳を振りかざすことはせず、ただ、明らかに悪い勤務態度──注意されないのをいいことに開き直っているようにみえるその態度はよくない、と友情から伝えた。

だが、それを聞いた和美の表情がさっと強ばった。注意されたこと自体が腹立たしいことだったらしく、怒りの表情になる。そのときになって私は、「ああ、私は友だちなんかではなかったのだ」と気づいたのだった。

翌日から和美の態度が豹変した。あからさまに私を無視するようになる。しばらくして、仕事にも影響が出てきた。私の仕事に関する書類や作業が、和美のところで止まってしまう。

早く進めてほしいと言いに行っても、私の姿を見つけると和美はスッと席を離れて、会話さえできない。仕事に支障が出ても、責められるのは私一人。誰のせいなのかみんなわかっているはずなのに、苦情も叱責も私のところにやってくる。針のむしろだった。

頼みにしていた亜紀と慶子も、私から距離を置き始めた。いったんは和美に注意することに賛成しておきながら、「自分たちは関係ない」という態度をとる。和美と話をしようにも、携帯電話の番号を変えられてしまい、連絡が取れないのだった。