できることは自分でやってみる

あまり上品な表現ではありませんが、私はいつも「買うと馬鹿になる」と言っています。材料を手に入れて自分で作らなければ、材料に対する情報も知識も得られない。技術も身につきません。創意工夫だって育たない。売っているものしか使えない生活をしていると、たとえば災害で物流が滞ったとたんに「トイレットペーパーがない」と大騒ぎになります。トイレットペーパーがなくても、小用くらいなら新聞紙をよく揉んで拭いて袋にでも溜めておき、燃えるゴミに出せばいいのです。

燃料費などの高騰で、電気料金の値上がりを心配する人も多いでしょう。その対策として私は、日常生活で電気に頼ることから考え直すべきだと思っています。家電に頼りすぎると、電力の過剰消費が地球環境に悪影響を及ぼすだけでなく、私たち人間の知性や感性を衰えさせることにも直結するのです。

もちろん電化製品の使用をすべてやめるのは、現実的ではないでしょう。電気の使い方でいえば、現代のオール電化ではなく昭和30年頃のハーフ電化。消費生活としてもその時代あたりを参考にすると、地球に優しい生き方ができるのはもちろん、手足や頭を使うことで老化予防にもなると思いますよ。洗濯機は使うけれど、電力消費の多い乾燥機能は使わないで天日に干す。ちょっとした掃除は、ほうきとちり取りで済ます。そんな小さなことならできるのでは。

冷蔵庫になんでもかんでも詰め込んで、無駄な電気を使うのも考えものです。シニアの1~2人ぐらしであれば、小さめの冷蔵庫でこと足ります。中身も把握しやすいので、奥のほうに入れたまま忘れて、食品をダメにすることも減らせるでしょう。

小さな冷蔵庫の上には水屋を置き、卵などを保存していた(撮影=大河内禎)