武家の社会で主人と従者の主従関係は相対的なもの

現代社会では、戦力と見なされない女性や子どもを戦いの犠牲にすることは、世界的な法らしきもので禁止されています。モラルの観点からしても、それは圧倒的に正しい。

けれども、戦国の世は異なります。武家の社会で主人と従者の主従関係は相対的なもの(家来は自分に適切な待遇を与えない主人を見限ってよし)でしたから、必ず従者の側は大切な身内を人質を差し出す。

そして従者が主家を裏切ると、人質は容赦なく処刑されます。

主な人質は母親や妻、子ども。暴力の観点からすると、実にか弱い存在です。戦国大名だって鬼じゃありませんから、そうした無抵抗な者たちを、好きこのんで処罰したくはなかったでしょう。

でも、家臣を統制するためには、裏切りは許せない。裏切りが起きれば、大名自身や他の家臣たちの生命・財産が脅かされる。だから、人質の命は、見せしめとして奪われねばならない。

歴史資料もそうした残酷なデータを喜んで残したりはしませんから実態はよく解明できてないのですが、日本列島規模で見るなら、何百人、ひょっとすると何千人もの犠牲が出ていたかもしれません。