主に配偶者以外との性交渉を指す「不倫」。毎週のように有名人がスクープされる関心事である一方、客観的な情報はそう多くありません。一方、海外での研究もふまえて、その全体像を明らかにしようと試みているのが、社会学者の五十嵐彰さん、そして経済学者である迫田さやかさんです。何%が「不倫」経験者で、どんな人が何を求めてどんな相手とするのか。お二人によれば「性交と不貞行為は必ずしも同一のものではない」とのことで――。
どういった場合に不貞行為とされるのか
不倫はあくまで俗語であり、離婚事由となる根拠を示した民法770条第1項第1号には「不貞行為」という言葉が使われている。
さらに民法には、慰謝料をはじめとする様々な損害賠償(不法行為)について定めた規定(709条)があるが、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係をもつ場合について、裁判例をまとめた研究では「性交又は性交類似行為」などが不貞行為と考えられている。
ではどういった場合に性交や性交に類似した行為が、不貞行為とされるのだろうか。
性交と不貞行為は同一のものではなく、配偶者以外との性交渉が不貞行為とみなされない場合もある。いつ、誰と、どこで、どのように、といった不貞の実態を概観してみよう。