一般社会で通用しないだろうから、やめる勇気もなかった

長谷川 長年鳴かず飛ばずなのに、なぜ諦めなかったか? う~ん、芸人でいることの楽しさに甘んじていた時期も長くて。後輩や同期に追い越され、やめようと思ったこともあるけど、僕は一般社会で通用しないだろうから、やめる勇気もなかった。

渡辺 それは同感。当時は芸人を諦めることよりも、もっと下のレベルにいたと思う。やめたところで何するんだ、と。僕はあるときから「今回の人生はこれでいい」と開き直ってた。(笑)

長谷川 10年前、僕は前のコンビを解散し、年も40歳。そろそろ芸人生活も限界かなと思ってたところに、同じ事務所で偶然同じようにコンビを解散していた隆に誘われて、「いいね、やろう」みたいな軽いノリだったね。

渡辺 雅紀さんから滲み出るバカさ加減は天性のものだな、とつねづね感心していたんですよ。僕より7歳も上だけど(笑)。あと、舞台に立っただけで、パッと会場が明るくなる。

長谷川 隆は、落ち着いた風貌で、銀行の頭取か弁護士みたい。

渡辺 NHKの収録でこの紺色のスーツを着ていたら、局員に溶け込みすぎてマネージャーにさえ気づかれなかったよ。(笑)

長谷川 舞台でも隆はどっしり構えていて、ぼそっと一言、強い言葉で笑いをとる。僕と真逆だから、コンビを組んだらおもしろいだろうなと思った。

<後編につづく

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