「池袋西口はもう昔の西口じゃない」
ーーただ、豊島区ではしたたかに、そのピンチをチャンスに変えていきました。
あのショックがあったおかげで、職員、区民ともに危機意識がぐっと高まって、行動の指針が明確に定まった。それは確かです。19年には前年度比20・2%増の1498億円という過去最高となる空前の予算を組んで、勝負をかけました。
東口に、8つの劇場を擁する建物や超高層タワー、中池袋公園など国際アート・カルチャー都市のメインステージとなる「Hareza(ハレザ)池袋」。
池袋サンシャインシティに隣接する造幣局跡地には広大な防災公園「としまみどりの防災公園(愛称イケ・サンパーク)」、池袋西口公園にはクラシックコンサートが開ける野外劇場「GROBALRING」。さらに南長崎に「トキワ荘マンガミュージアム」。
池袋駅の東西を結ぶ地下通路「ウイロード」も、女性美術作家の壁画により、アートを感じながら誰もが安心して通行できる道に生まれ変わりましたし、駅の東西にできた新名所を回遊する電気バス「イケバス」も19年から運行を開始しました。
ーー池袋西口公園といえば、長瀬智也さん主演、宮藤官九郎さん脚本のテレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」(2000年、原作は石田衣良)の舞台になった場所。ドラマでは都市の不良たちがたまる悪名高い磁場として描かれていましたし、実際、そのようなスポットでした。
テレビドラマが描く世界は確かに魅力的ですが、駅の真ん前に危ない公園があることは、行政としては捨てては置けませんでした。
ーー今年、長瀬さんと宮藤さんのコンビで放映されたテレビドラマ「俺の家の話」でも、西口公園が取り上げられていました。長瀬さんが、池袋西口でストリートダンスの練習をしているという甥っ子に、「危ないじゃないか」と言うと、「いつの話だよ」と笑われるもので、西口の変遷をテレビ越しに実感しましたね。
そう、池袋西口はもう昔の西口じゃないんです。