プロデューサーの小林武史さんから「宮本はロック歌手なんだから、ロックテイストな歌も入れたほうがいい」とアドバイスを受けて選んだのが、「飾りじゃないのよ 涙は」と「DESIRE-情熱-」。

レコーディングでは何度も歌い直し、苦労しました。その過程で、「あなた」や「化粧」では主人公になり切って歌ったけど、明菜さんの歌は私が感情移入すればするほどダサくなることに気づいたんです。ヒロインを客観的な視線で見つめ、人生哲学を伝えるような思いで歌うべきだと。こういう表現法もあるのかと、自分の引き出しがまたひとつ増えました。

2作のカバーアルバムを通して、どんな女性もチャーミングだし、キュートだと、これまで以上に思えたのも大きな収穫です。前回のアルバムでカバーした岩崎宏美さんの「ロマンス」の主人公は、好きな彼のもとへ飛んでいきたいと。なんてピュアなんだろうとトキめきます。

中島みゆきさんの「化粧」では、綺麗になって自分を振った彼を見返してやりたいという。個人的には容姿の問題じゃないと思うけど、その健気さに感動するわけです。

また、「飾りじゃないのよ 涙は」は、泣いたりしないと強がっているけど、心は泣いている。

一方、平山みきさんの「愛の戯れ」は、泣きながら悲しみに震えている。どの女性も愛おしくてたまりません。って、思わず熱弁をふるってしまいましたが、大丈夫でしょうか?